以上のように、比較的簡単な作業で段ボールの箱は自作できますので、ぜひともお試しください。
また、作業自体は単純ですが、なにしろ「刃物」を使用いたしますので、作業は十二分にもご留意の上、取り組まれるようお願い申しあげます。
あとは今まで作業した面が内側になるように。「のりしろ」にのりを付け、ぐるりと筒状に貼り合わせれば完成です。のりはボンドやセメダイン系で構いませんが、浸み込まないものの方がきれいに仕上がると思います。
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次は「切り込み」ですが、単純に製作するなら、1本の切り込みで。きれいに仕上げたいのであれば、「幅のある切り込み」を入れられることをお勧めいたします。何度も申し上げますが、段ボールには厚みがございます。それを配慮すると切り込みも「幅」があった方が美しく仕上がるというわけです。今回のAフルートでしたら、5mm程度でよろしいかと思います。カッターナイフ等で5mmの間隔を空け、2本切り込みを入れたのち、間のくずを取り出すといったカンジです。
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では用意した段ボールを加工していきます。
まずは、材料を裏向きにします。加工の途中で谷折線をつけるのですが、その際段ボールをおしつぶすように線をつけることになるので、裏側から加工するのです。
本来は図面だけでなく、工作同様きちっと鉛筆等で材料に各線を書き込むのが一番ですが、わざわざ1箱にそれほどの手間をかけるのも時間がもったいないと思われれば、主たるところをマーキングしたらば、直接「折り線」を入れたり、「切り込み」を入れても構わないかと思います。
最初に「周辺総枠」をカットします。全体を小さくした方が作業がしやすいからです。敷物を敷き、カッターナイフ等で切った方がきれいに切れますが、意外と彫刻刀にも切りやすいものがあります。
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注1) 「のりしろ」は通常35mm前後ですが、計算しやすいので40mmでいいかと思います。
注2) この面は「のりしろ」と接合される面になります。構造上3mm控えるときちんとした箱が出来上がります。
注3) フタの部分も本来は難しい計算が必要ですが、「幅の寸法を2で割って3mmたす。」でよろしいでしょう。
この場合であれば216÷2=108 108+3=111 となります。
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段ボールの汎用素材はAフルートと呼ばれる4.5mm程度の厚みの一層タイプの段ボールです。今回はこれを用いる場合を想定して、設計・製作いたします。段ボールの場合、厚みだけでなく、その材質にも種類が多数あり、それによっても強度に違いが出てきますが、今回のような場合は手近な材料から製作することになると思いますので、材質の違いは無視することにいたしましょう。
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よくある普通の段ボール箱
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次に折り線を引きます。何度も申し上げますが、この作業は内側の面から行うようにして下さい。つまり内側からみて「谷折線」を引くわけです。
器具としては「定規」や「下敷き」でもよいのですが、もしあれば左の写真のような裁縫用具等
を利用されますときれいに折り線がつけられると思います。
さあ、それでは完成した図面をもとに材料を加工していきます。
まずは、この周辺サイズより大きな段ボールが必要ですが、その際に注意が必要なのは段ボールには方向があるということです。
すでにお気づきだとは思いますが、段ボールには特有の段目・波目があります、また、それが強度の源でもあるゆえ、その向きは非常に大切なファクターでもあります。
今回の形状の箱・そして図面においては、もうすでにその方向は決定されています。5番で示した図の右下部分をご参照ください。この向きに段ボールを使用することによって丈夫な箱が出来上がります。
図面はこれが代表的なパターンです。
これに先ほど求めた数字をはめていきます。
ところどころで、妙な差し引きをしますが、これも段ボールに厚みがあるためならではの演算で、面倒臭がらずに計算するとよりきちっとした箱ができあがります。
ところがこの通り図面を引きますと、段ボールの場合は内側にひずみが出ますので,せっかくの余裕がなくなってしまいます。
そこで、この数字に段ボールならではの加算値を加えることが必要になってくるわけです。
Aフルート厚みのものであれば、長さに6mm、幅に6mm、深さに9mmという標準的な加算値が通例となっています。
それを加えてみましょう。
長さ 310+6=316mm
幅 210+6=216mm
深さ 110+9=119mm
となります。これで図面が書けます。
ではこのタイプの段ボールを使って設計をするための演算をしてみましょう。
中身に入れる品物のサイズが(長さ300mm)(幅200mm)(深さ100mm)だとします。
本来であれば、ここでまず中身の品物の形状が問われます。丸型で内側に接点の少ないものであれば、それほど余裕を見る必要はありませんし、本のようにビッチリ角型であれば少々余裕をみないと品物を箱から出す際に出せなくなります。
ま、あまりこだわるとややこしくなりますから、今回は標準的な余裕として各10mmずつみることにしましょう。
となると長さ310mm、幅210mm、深さ110mmということになります。これが物を出し入れするのに必要な内寸法です。
最初に希望する箱の内寸法を決定いたします。段ボールはご存知のように厚みのある素材ですので、箱の外の寸法と内側の寸法には当然ながら差が出てきます。どちらも図面上の寸法とは違うのですが、段ボールの性質上「内側」にひずみが多く出ます。つまり外の寸法ほぼ=図面寸法>内側寸法ということになります。
このため、内側に入れる品物を想定し、それに余裕をみた後、さらに内側へのひずみを加え、外寸法ほぼ=図面寸法を出す必要があるのです。
まずは、ひとえに材料と申しましても、世の中に出回っている厚みの違う段ボールが主なもので3種類ほどあります。
また、長さ、幅、深さによっても本来は梱包の形状を変えないと強度が保てないようになっています。
このために設計の専門家が必要になるのですが、よくあるミカン箱、そして代表的な厚みと限定してしまえば、その設計は難しくありませんのでそれを紹介いたします。また、これ以上に精度や強度を要するような場合はやはり少量とはいえ、代金を支払って専門家に依頼する方が無難かと思いますので、その際は当社までご遠慮なくご相談くださいませ。
お客様からの問い合わせで「1枚からでも希望の寸法で出来ますか?」というご質問をよく受けます。
答えは「YES」なのですが、ただし、料金がが非常に高くついてしまいます。
もともと段ボールというものは消耗品であるがゆえ、哀しいかな同型大量生産でなければ採算が合わない価格が構築されてしまっています。ですから、それらと似たような価格で「1枚」というのは現実的に商売自体が成立いたしません。
なので、ご希望されるお客様にはそれ相当の代金をお支払いいただいて製作しているのが現状でもあります。
が、なにしろ想像を超える金額ですので、私どもも正直申し訳なく思いながら(それでも採算が合っているとは言い難い)お引き受けしている次第なのです。
当方専門工場ですし、機材も揃っておりますので、1枚からでもきちんとお作りすることはできますが、実は段ボールの箱というのはそれほど厳密に考えなければ、そうたいして難しいシロモノでもないのです。
もちろん中にはコンピューター等を駆使して専門家が設計しなければならない製品も多々ありますが、よくいうミカン箱程度のものであれば、材料さえあれば誰だって出来ます。
私どもの会社では、1枚だけ欲しいというお客様には「在庫の既製品」をまずおススメし、もう少しフィットしたサイズをご希望されるのでしたら、自作をおススメしております。なにしろ材料費だけですから、安くあがります。
そこで、その作り方を簡単に紹介しておきますので、その必要性が出た場合、このコーナーを思い出し、ご参考にしていただければ幸いです。